2026/11/05 10:00
馬の脚に着けるプロテクターとは別に、蹄の周りを覆う小さな保護具を見かけませんか。
釣り鐘のように裾が広がったベルブーツです。
色をそろえて楽しめる用品ですが、形にも素材にも保護するための工夫があります。
なぜ蹄の周りを覆うのでしょう。回転を抑える突起が付いているのは何のためでしょうか。
今回はベルブーツの役割をひもときながら、LeMieux・QHP・Eskadronの3商品をご紹介します。
🔍 ベルブーツはどこを守るのでしょう
ベルブーツは繋の周りに装着し、蹄の上部や後方を覆う保護具です。
特に注目したいのが蹄の後ろ側。かかとに当たる柔らかな部分を「蹄球」といいます。
馬が動くときに後肢の蹄が前肢の後ろ側へ接触すると、この部分などを傷つけることがあります。
ベルブーツは接触時の衝撃から守るために使われます。
BHSもこうしたけがを起こしやすい馬について、
運動時や放牧時に適合したベルブーツを使うことを予防策の一つとして挙げています。
脚の上の方を覆うプロテクターとは、主に保護する場所が違うのですね。
ベルブーツという名前に加えて、海外では「Overreach Boots」という表記もよく見かけます。
🐎 前肢の蹄に後肢が届いてしまうのはなぜ?
馬の前肢と後肢は離れて見えますが、動いている間はそれぞれが前後へ運ばれます。
そのタイミングによっては後肢の蹄が前肢の後ろ側へ接触します。
体形のほかに疲労や速い動きなども関係します。
また蹄の伸びすぎや装蹄の状態によって、前肢の蹄が地面を離れる動きが遅くなることも要因になります。
つまり「元気に動く馬だから着ける」「障害を跳ぶ馬だけに必要」という分け方ではなさそうです。
普段のレッスンでも、接触しやすい馬には使う理由があります。
一方でどの馬にも一律に必要というものでもありません。
会有馬に乗る方も、いつも使っている理由を知ると馬装の見方が少し変わるかもしれませんね。
💡 回るベルブーツと回転を抑えるベルブーツ
ベルブーツには、繋の周りで回転することを許す設計と回転を抑える設計があります。
ここは少し意外な違いではないでしょうか。
回転することを想定した製品もあるため「動いたから全部サイズ違い」とは限りません。
実際にメーカーが回転する構造を特徴としている商品もあります。
一方で後方に補強部分を配置した製品では、その部分が必要な位置にとどまることが大切です。
内側の突起などで回転を抑える工夫が使われます。
同じベルブーツでも、位置を保ちたい理由が構造によって違うのですね。
「回らないものが必ず上位」というよりも、
その製品がどんな使い方を想定しているかを見ていくと選びやすくなります。
🖤 Bell Boots LeMieux Proshell Black

LeMieuxのProshellは、丈夫で柔軟性のある外側のシェルと
柔らかなネオプレンの内側を組み合わせたベルブーツです。
上端にも柔らかな素材を使い、繋に触れる部分へ配慮しています。
水を吸収しにくく洗い流しやすい点もメーカーが挙げる特徴です。
運動時だけでなく放牧時の使用も想定されています。
こちらで覚えておきたいのはサイズ感です。
メーカーは特に高さが大きめの作りとして、通常想定するサイズより一つ下を検討するよう案内しています。
いつも別の商品でMを使っているから今回もM。そんな選び方では合わない場合があるのですね。
まずは今使っているものの寸法や覆っている範囲を見て、メーカーのサイズ案内と比べてみるとよさそうです。
👉 Bell Boots LeMieux Proshell Blackの詳しい情報はこちら
🐴 Bell Boots QHP Eventing Black

QHPのEventingは、後方にケブラー素材の補強を配置したベルブーツです。
軽量で水を吸収しにくい作りに加えて、内側には回転を抑える突起を備えています。
留め具は二重の面ファスナーです。
柔らかな裏地と上端の生地によって、接触部分の擦れにも配慮しています。
こちらは先ほどの「位置を保つ理由」が分かりやすい商品です。
後方を補強しているため、補強部分が横へ移動してしまわないように工夫されています。
装着するときも留め具を閉じるだけでなく、
内側の突起と後方の補強が適切な位置に収まっているかを見たいですね。
Eventingという名前ですが、総合馬術だけで使うという意味ではありません。
水を吸いにくいことや回転を抑える構造が必要な場面を考えて選べます。
👉 Bell Boots QHP Eventing Blackの詳しい情報はこちら
🤎 Bell Boots Eskadron Pikosoft Black

EskadronのPikosoftは、外側の丈夫な合成素材と内側のネオプレンを組み合わせたベルブーツです。
メーカーは内側に厚さ5.5mmのネオプレンを使い、
丈夫な二重の面ファスナーを備えていると説明しています。
留め具にはつまんで開けるためのループも付いています。
外側の耐久性だけでなく、内側のクッション材や着脱する部分も比較したい商品です。
厚みは構造を知る手がかりになりますが、その数字だけでほかの商品より保護性能が高いとは判断できません。
実際に覆う範囲や馬への収まりと合わせて見ていくと、選ぶ理由が明確になりそうですね。
👉 Bell Boots Eskadron Pikosoft Blackの詳しい情報はこちら
📏 サイズは上端の周囲と高さを一緒に
ベルブーツを選ぶときは、S・M・Lという表記だけでなく実際に装着した状態を思い浮かべてみましょう。
上端が収まる繋の周囲と、保護したい蹄の後方まで届く高さは別の要素です。
周囲には合っていても高さが足りなければ、覆いたい部分が出てしまいます。
一方で大きすぎても裾を踏んだり位置が安定しなかったりする原因になります。
確認したいのは次の点です。
保護したい蹄の後方を十分に覆えているか
上端が食い込んだり擦れたりしていないか
面ファスナーが十分に重なって留まるか
回転を抑えるタイプは突起や補強が正しい位置にあるか
裾の位置や必要な余裕は製品の形によっても異なります。
まずはメーカーのサイズ表と装着案内を基準にしたいですね。
🧲 ベルブーツを着ければ落鉄しない?
後肢などで蹄鉄の後方を踏むことによる落鉄への対策として、ベルブーツが使われる場合もあります。
ただし蹄鉄を固定する用品ではないため、着ければ落鉄しなくなるというものではありません。
また接触を受け止める保護具を使っても、接触する原因そのものがなくなるとは限りません。
BHSもベルブーツの使用と合わせて、適切な削蹄や装蹄を挙げています。
繰り返し同じ場所を傷つける場合や落鉄が続く場合は、
用品の変更だけで考えずに蹄や動きの状態も確認したいところです。
🧺 外した後の内側にも選ぶヒントがありそうです
ベルブーツは地面に近い場所で使うため、泥や砂が付きやすい用品です。
外したら内側と上端を見てみましょう。砂が入り込んでいないか。
柔らかな縁が硬くなっていないか。
面ファスナーに毛や汚れが詰まっていないか。
馬側の蹄球や繋にも擦れがないかを確かめたいですね。
本体の後方に傷が付いているなら、接触を受けた可能性もあります。
傷の場所は使われ方を知る手がかりになりますが、それだけで原因までは決めつけないようにしましょう。
洗った後は内側まで乾かし、傷みや留め具の状態も確認して次の使用へ。
手入れのしやすさも日々使う用品では気になるポイントですね。
🛍️ 蹄を覆う小さな形にも選ぶ理由があります
乗馬用品を通販で探すと、ベルブーツは色や外観が似て見えるかもしれません。
けれども外側の素材や内側のクッションに加えて、回転を許すか抑えるかという設計の違いもあります。
大切なのは「どこを守りたいか」と「その位置に収まるか」を一緒に見ること。
次に馬装するときは、いつものベルブーツの内側も少し見てみませんか。
小さな突起や後方の補強に気づくと、釣り鐘のような形にも理由が見えてきそうですね。
📚 参考資料
・Horse Side Vet Guide|獣医師によるオーバーリーチの解説
