2026/11/03 10:00


馬装のたびに使う腹帯。


「この馬はこの穴で」と留める位置は覚えていても、


腹帯そのものの形を見比べる機会は少ないかもしれませんね。


まっすぐなもの。肘の後ろがくびれているもの。中央が広いもの。ゴムを備えたもの。


いつもの穴で留めている腹帯にも、形や素材にさまざまな工夫があります。


触ったときの柔らかさに加えて、馬が動いたときにどこへ当たるかも気になるところです。


今回は腹帯の形と素材をひもときながら、Prolite・LeMieux・QHPの3商品をご紹介します。


🔍 腹帯のくびれやカーブにはどんな意味があるのでしょう


腹帯は馬の胴を囲み、鞍を安定させるために使う用品です。


ただし馬の胴は均一な筒ではありません。胸からお腹へと形が変わり、すぐ近くでは前肢も動いています。


そのため腹帯には、肘の後ろに空間を設けたり接触面の圧力に配慮したりする形状があります。


ここで分けて考えたいのが「当たりを柔らかくすること」と「当たる位置を工夫すること」です。


クッション材を使えば接触面の性質を変えられます。


一方で輪郭を変えることは、動く部分との位置関係を工夫する方法です。


柔らかな靴でも縁がくるぶしに当たると気になることがありますよね。


腹帯も素材の柔らかさと形の適合を一緒に見ていくと分かりやすくなりそうです。


ただしカーブが大きいほどよいわけではありません。


馬の体形や鞍の位置との組み合わせによって、必要な形は変わります。


🧪 腹帯の圧力はお腹の真下に集中するとは限らない?


腹帯の圧迫と聞くと、お腹の真下を想像する方もいるかもしれません。


2013年の研究では、まず10頭の馬で腹帯の下の圧力を測定しました。


通常使われていた腹帯では、肘の後ろの筋肉上に高い圧力が生じていました。


続いて20組の馬と騎乗者で、その部分への圧力を避ける設計の腹帯と普段の腹帯を比較しています。


設計を変えた腹帯では圧力のピークが低下し、速歩中に肢を前へ出す動きなどにも違いが認められました。


「お腹を囲む用品だから真下だけ見ればよい」というわけではないのですね。


ただしこれは特定の設計と条件で行われた研究です。


今回紹介する3商品すべてに同じ結果が確認されたという意味ではありません。


この研究から得られるのは、腹帯の形や当たる位置にも目を向ける理由です。


次に腹帯を見るときは、中央だけでなく肘の後ろへ続く輪郭も気になりそうですね。


📏 長い腹帯と短い腹帯は馬の大小で使い分ける?


長い腹帯と短い腹帯の違いは、馬の胴回りだけで決まるものではありません。鞍側の取付構造にも関係します。


鞍から下がる穴の開いた革のベルトを腹帯託革といいます。ここへ腹帯のバックルを留めます。


託革が短い鞍では長い腹帯を使います。託革が長い馬場鞍や一部の障害鞍などでは短い腹帯を使います。


そのため「馬場用」「障害用」という名前と合わせて、使う鞍に対応するタイプかを確認したいですね。


購入時に長さを見るなら、締められるかに加えてバックルの位置にも注目してみましょう。


Proliteは短い腹帯について、ゼッケンに干渉しない範囲で上端を高い位置へ収めるよう案内しています。


肘の後ろの圧力に敏感な部分からバックルを離すためです。


「短い腹帯なら短いほどすっきりする」とも限らないのですね。


同じ馬でも組み合わせる鞍が変われば、必要な腹帯の長さは変わり得ます。


馬のサイズだけでなく鞍と一組で考えると選びやすくなります。


🖤 Dressage Girth Prolite Classic Freedom Of Movement Black



Proliteのこちらは、馬場鞍などの長い腹帯託革に合わせる短いタイプです。


Fairfax Saddlesのライセンスに基づく設計を採用しています。


肘の後ろに余裕を持たせる輪郭と、縁の当たりに配慮したクッション構造が特徴です。


表面には通気性や水分への対応を意識した機能性素材を使っています。


注目したいのは、Prolite公式のショートタイプにはゴムがないこと。


「快適さを考えた腹帯には必ず伸縮部分がある」と思っていた方には、少し意外かもしれません。


形やクッションの配置から当たり方を工夫しているのですね。


またProliteにはStandardとNarrowという形状の違いもあります。


これは単なる長さ違いではなく、前肢の間の幅や肘の後ろの状態などに応じて選ぶものです。


今回の商品を選ぶ際も、掲載されている仕様と馬に必要な形を確認したいですね。


👉 Dressage Girth Prolite Classic Freedom Of Movement Blackの詳しい情報はこちら


🐴 All Purpose Girth LeMieux Gel-Tek Anatomical Black



LeMieuxのGel-Tekは、長い腹帯を使う鞍に対応するタイプです。


輪郭にカーブをつけて肘の後ろに空間を設け、縁にはジェルを使ったクッションを配置しています。


メーカーは柔らかな革とジェルを組み合わせ、


接触面の圧力や筋肉の動きに配慮した構造として説明しています。


両端には伸縮部分も備えています。


こちらで見ていただきたいのは、腹帯の中央だけでなく縁にも工夫があることです。


広い面が柔らかくても、その境目の厚さや硬さは別の特徴です。


Gel-Tekは縁の接触にも目を向けた作りになっています。


商品写真を比べるときも、中央の幅だけでなく外周の仕上げまで見ると違いを見つけやすそうですね。


👉 All Purpose Girth LeMieux Gel-Tek Anatomical Blackの詳しい情報はこちら


🤎 All Purpose Girth QHP SensiSoft Brown



QHPのSensiSoftは、柔らかな革の裏当てを備えた長いタイプの腹帯です。


馬体に沿うカーブを持ち、両端にはゴムとセルフロック式のローラーバックルを採用しています。


中央と左右には補助具を取り付けるリングも備えています。


この商品では接触面の素材に加えて、締めるときに使う部分の工夫にも注目できます。


ローラーバックルは託革を引き通す操作を助けるもの。セルフロック式も留める際の操作に関わる機能です。


「扱いやすい金具」と「馬に合う締め具合」は別に考えると分かりやすいですね。


便利な機構が適切な強さまで自動で決めてくれるわけではありません。


柔らかな革と落ち着いたブラウンの外観に、装着時の操作性も組み合わせた一品です。


👉 All Purpose Girth QHP SensiSoft Brownの詳しい情報はこちら


💡 ゴム付きなら優しい?締めやすさと締め具合の違い


ゴム付きの腹帯には伸縮性があり、締める操作をしやすくする工夫があります。


一方で今回のProliteのようにゴムを使わない設計もあります。


この違いだけで快適さの優劣は決めにくいところです。


形や素材との組み合わせに加えて、実際にどの程度の張力で装着されているかも関係します。


また「締めるときに力が要らないこと」と「緩く装着されていること」は同じではありません。


いつもの穴は装着するときの目安になります。


ただし腹帯や鞍が変われば、同じ穴でも同じ締まり方になるとは限りません。


穴の位置や操作の軽さだけを頼りにせず、鞍の安定と馬への当たり方も合わせて見たいですね。


会有馬に自分の腹帯を使う場合も、普段の装備から何が変わるのかを整理しておくと役立ちます。


長さだけでなく伸縮部分やバックルの位置も比較できます。


🧺 今の腹帯も裏返して見てみませんか


柔らかな腹帯を選ぶことと、その状態を保つことはつながっています。


乾いた汗が固まっていないか。砂や毛が残っていないか。縁やゴムに傷みがないか。


Proliteは汗が生地に蓄積すると、通気性や柔軟性に影響して素材が硬くなると説明しています。


購入時の手触りだけでなく使用後の状態にも目を向けたいですね。


お手入れ方法は製品ごとに異なります。


たとえばQHPはSensiSoftの革をクリーナーと革用バームで手入れするよう案内しています。


縫い目への影響からオイルの使用は勧めていません。


「革製だから全部同じ方法で」と考えずに、製品ごとの案内を見ておくと長く使いやすくなりそうです。


🛍️ 通販で腹帯を選ぶときの見方


乗馬用品を通販で探すときは、まず今使っている腹帯を比較の基準にしてみましょう。


長いタイプか短いタイプか。形はまっすぐかカーブしているか。裏側と縁にはどんな素材を使っているか。


さらに装着したときのバックルの位置まで分かると、サイズ表の数字も具体的に考えやすくなります。


今の腹帯が合っているなら、その特徴を知ることも次の選択に役立ちます。


擦れや傷がある場合は、素材を替えるだけで解決しようとせず装着位置や鞍との関係も確認したいところです。


次の馬装では、いつもの穴で留める腹帯の形にも少し目を向けてみませんか。


肘の後ろのカーブや裏側の素材に気づくと、毎回使う道具が少し違って見えるかもしれませんね。


👉 腹帯の一覧はこちら


📚 参考資料


・Murrayほか(2013)|腹帯の圧力分布と設計による肢の動きの違いを調べた研究


・Prolite公式|腹帯のサイズと装着位置のガイド