2026/10/26 10:00
「たてがみはまた生えるけれど、尻尾は抜けたらもう生えない」
乗馬クラブで、そんな話を聞いたことはありませんか?
尻尾を大切に扱おうという気持ちは伝わりますよね。
ただ、尻尾の毛も生え替わります。「一度抜けたら二度と生えない」という説明は正確ではありません。
では、どうして丁寧なお手入れが必要なのでしょうか。
今回は毛の生え替わりや、たてがみと尻尾の役割から考えてみます。
あわせてBR・Effol・Cowboy Magicのケア用品をご紹介します。
🌱 たてがみも尻尾も、生え替わる毛です
毛が伸び、やがて抜けて新しい毛に替わる。
基本的な仕組みは人の髪にも馬のたてがみや尻尾にも共通しています。
ただし、毛質や伸び方まで同じという意味ではありません。
カリフォルニア大学デービス校の獣医学部は、体毛とたてがみ・尻尾の毛の生え替わりを区別しています。
たてがみや尻尾も自然に抜けますが、季節ごとにまとまって生え替わる体毛とは違うのですね。
途中で切れた毛と、根元から抜けた毛にも違いがあります。切れた毛は成長中であればその後も伸びます。
一方、抜けた後の再生は毛を作る部分の状態などにも左右されます。
たてがみも尻尾も「また生えるから多少引っ張ってよい」とは考えずに扱いたいですね。
⏳ 生え直すことと、元の長さに戻ることは別のお話
「それなら、たてがみも尻尾も同じように扱えばよいのでは?」と思うかもしれません。
確かに、どちらも無理に引っ張らないことは共通しています。
また、尻尾の毛がたてがみより必ず遅く伸びるとも言い切れません。
成長速度には個体や部位による違いがあります。
ただ、短く整えたたてがみと長い尻尾では元の姿に戻るまでに必要な長さが違いますよね。
新しい短い毛が生えてきても、それだけで長い尻尾の毛先までそろうわけではありません。
長く伸ばしたたてがみも同様です。
大切にしたい理由は「尻尾だけは再生しないから」ではなく
「今ある長さを取り戻すには時間が必要だから」と考えると分かりやすそうです。
🪰 尻尾の長い毛は、見た目だけのものではありません
放牧中の馬が尻尾を振って虫を払う姿は、よく見かけますよね。
あの動きには長い毛も関わっています。
2018年の研究では、馬などが尻尾を振る動きが撮影されました。
虫を直接払う働きや、動きによって生じる空気の流れも調べられています。
馬では、振られた長い毛が脇腹に回り込む様子も報告されています。
研究者は、尻尾を短くすることが虫を追い払う能力を妨げる可能性を指摘しています。
「長いときれい」だけでなく、届く範囲にも意味があるのですね。
また、尻尾の動きは馬同士や人とのコミュニケーションにも使われます。
スコットランド政府の馬の福祉ガイダンスでも、この2つの役割を挙げています。
明確な獣医療上・福祉上の理由がない限り、尻尾の毛の大部分を取り除かないよう案内しています。
🍃 たてがみにも、首を覆う役割があります
たてがみは首に沿って垂れる毛です。
厚く長いたてがみは首を覆い、保護や保温の一助になります。
馬の福祉団体World Horse Welfareも、
厚いたてがみが首の保護や断熱に役立つことを馬着選びの説明で紹介しています。
一方で、たてがみの量や長さには馬による違いがあります。
尻尾と同じ働きをするものとして説明するより、それぞれが覆う場所や動き方を見て考えたいですね。
たてがみを整えること自体が悪いわけではありません。
ただ、見た目のためだけの毛として扱わずに首を覆っている部分にも目を向けてみませんか。
📏 では、何cm残せばよいのでしょうか?
ここは「すべての馬で何cmあれば十分」とは言い切れません。
今回確認した資料でも、たてがみと尻尾について全馬共通の必要最低限の長さは示されていません。
馬の体格や毛量に加えて、生活環境や虫の多さによっても考え方は変わります。
反対に、長ければ長いほどよいというわけでもありません。
地面を引きずったり踏んだりする長さなら、引っ掛かりや汚れへの配慮も必要になりますよね。
尻尾なら、虫を払うための長い毛を極端に減らさないこと。
たてがみなら、その馬の毛量や生活環境も含めて考えること。
一律の数字を目指すより、毛の働きと安全な管理の両方を見ながら整えたいところです。
クラブの馬の長さや毛量を変える場合は、管理している方針を先に確認しておきましょう。
🪮 生えている場所に合わせて、お手入れも少し変えてみる
たてがみは首に沿って広がっています。表面だけでなく、めくった内側と根元も見てみてください。
表側は整っていても、裏側に汚れや絡まりが残っているかもしれません。
長いたてがみなら、小さな束に分けて毛先から。短くても、
引っ掛かったところを力で通さずに指で確かめてみるとよいですね。
尻尾は長い毛が重なっています。
ひとまとめにとかすより、少量ずつ分けると内側の絡まりを見つけやすくなります。
下の絡まりを残したまま上からブラシを通すと、途中で引っ掛かってしまいます。
毛先が通るようになってから、少しずつ上へ進めてみてください。
大学連携の情報サイト「Extension Horses」でも、毛を引き抜かないよう注意を促しています。
尻尾には、絡まりをほぐすケア用品や指を使う方法が紹介されています。
作業するときは馬の真後ろを避け、馬の様子が分かる横側から行いましょう。
🌿 Mane & Tail Lotion BR 500ml

BRのたてがみ・尻尾用ローションです。
マカダミアナッツオイルを配合し、絡まりをほぐしやすくしてツヤを整える商品として案内されています。
内容量は500mlです。
普段のお手入れで、毛を扱いやすくするケア用品を探している方に見ていただきたい1点です。
使うときは、製品表示に従って必要な部分へなじませてみてください。
毛量の多い尻尾では、表面だけでなく内側の毛束も確認するとよさそうです。
たてがみなら首に沿って束を分け、尻尾なら重なった毛の内側も見る。
同じケア用品でも、部位に合わせて使う範囲を考えると取り入れやすくなりますね。
👉 Mane & Tail Lotion BR 500mlの詳しい情報はこちら
✨ Effol Mane And Tale Liquid

Effolのたてがみ・尻尾用ケアリキッドです。
ケアオイルとシリコーン系の成分によって、毛をとかしやすくする商品として紹介されています。
ツヤやボリューム感を整えるためのケアにも使えます。
ここでも「ふんわりした仕上がり」と「新しい毛が増えること」は分けて考えたいですね。
毛をほぐして整えた見た目と、発毛は別のお話です。
今ある毛を扱いやすくする日常のケアとして見ていただくとよいでしょう。
なじませてから時間を置いてほぐすという使用案内です。
急いでブラシを通す前に、製品表示に沿って使ってみてください。
👉 Effol Mane And Tale Liquidの詳しい情報はこちら
🪄 Detangler & Shine Cowboy Magic

Cowboy Magicの、絡まりをほぐしてツヤを整える濃縮タイプのケア用品です。
公式情報ではシルク由来の成分を配合し、少量を絡まった部分になじませる方法が案内されています。
軽い絡まりで汚れがなければ、乾いた毛にも使用できます。
気になる毛束へ少しずつなじませながら作業したい方に、取り入れやすそうです。
メーカーのケア記事でも、まず指で大きな絡まりをほぐす方法が紹介されています。
その後に毛先から道具を使うという流れです。
付けたらすぐにブラシを通そうと急がず、引っ掛かる場所があればもう一度小さな束へ分けてみる。
そのひと手間も、お手入れの一部として考えたいですね。
👉 Detangler & Shine Cowboy Magicの詳しい情報はこちら
🐎 きれいにする時間を、今ある毛を大切にする時間にも
たてがみも尻尾も生え替わりますが、長い毛を取り戻すには時間が必要です。
そして、その毛には馬の体を覆ったり虫を払ったりする働きもあります。
そう考えると、ブラシに取れた毛の量よりも無理に引っ張らずに整えられたかを気にしてみたくなりませんか。
乗馬用品を通販で探すときも、「ツヤが出る」という説明だけでなく
使い方やなじませ方まで見比べてみてください。
どんなお手入れに取り入れたいかが見えてくると、選ぶ理由も増えそうです。
毛を分けたときには皮膚の状態も見ておきたいですね。
赤みや傷があったり繰り返し擦っていたりする場合は、単なる絡まりと分けて考えましょう。
症状が続く場合は、スタッフや獣医師へ相談してみてください。
次のお手入れでは、少しずつ毛束を分けながら今ある長さを大切に整えてみませんか。
📚 参考資料
スコットランド政府|馬のグルーミングと日常の確認に関するガイダンス
World Horse Welfare|馬着と、たてがみによる保護について
Extension Horses|たてがみ・尻尾のお手入れと道具の使い方
※参考資料はいずれも英語です。
