2025/05/13 07:30

乗馬は楽しく魅力的なスポーツですが、安全対策を十分に考慮することが重要です。


特に、ライダーの装備や安全規格を理解し、適切なアイテムを選ぶことで、落馬や事故のリスクを最小限に抑えられます。


ここでは、乗馬の安全装備と国際的な規格について詳しく解説します。



1. 乗馬用ヘルメット


目的


頭部を守り、落馬時の衝撃を軽減するために必須。国際的な安全規格に準拠したものを選ぶことが重要です。


主な安全規格


  • VG1(欧州規格)
  • ASTM F1163(米国規格)

  • PAS015(英国規格)

  • EN1384(旧欧州規格)


選び方のポイント


  • 頭にしっかりフィットし、ズレにくいものを選ぶ。

  • 通気性のあるモデルは快適性が向上。

  • 軽量なものほど首への負担が少ない。

  • 調整機能付きのモデルはよりフィット感が良い。


2. ボディプロテクター


目的


胸部や背中を保護し、落馬時の衝撃を軽減する。特に競技やクロスカントリーでは必須。


主な安全規格


  • EN13158 Level 3(最高レベルの保護性能)

  • BETA 2009/2018 Level 3(イギリスの推奨規格)

  • ASTM F1937(米国規格)

選び方のポイント


  • フィット感を重視し、動きやすいものを選ぶ。

  • 軽量タイプほど騎乗時の負担が少ない。

  • 通気性があるモデルは快適性が向上。


3. エアバッグ式プロテクター


目的


落馬時にガスカートリッジが作動し、エアバッグが瞬時に膨らむことで衝撃を軽減。背中、胸部、脇、首周りを保護。


作動方式


  • 鞍に取り付けたランヤード(紐)をライダーのエアバッグベストに接続。

  • 落馬時に紐が引っ張られることでガスカートリッジが作動。

  • 0.1~0.3秒でエアバッグが膨らみ、衝撃吸収。

安全規格


  • CE認証(欧州基準)

  • BETA 2009/2018 Level 3(一部競技で併用推奨)

メリット


  • 落馬時の衝撃を大幅に軽減

  • 軽量で動きやすい

  • 通常のボディプロテクターより広範囲を保護

注意点


  • 誤作動の可能性があるため、ランヤードの扱いに注意

  • 競技によっては使用が制限される場合がある

  • エアバッグ式は大きな怪我が増えるというデータもあるため慎重に選ぶ必要がある

4. EN13158とBETAの違い


EN13158とは?


EN13158はヨーロッパの安全基準で、乗馬用ボディプロテクターの衝撃吸収性能を評価する技術的な規格。


BETAとは?


BETA(British Equestrian Trade Association)は、EN13158の基準を満たす製品を定期的に品質チェックする認証制度。


EN13158のレベル


  • Level 1 → 最も軽量で動きやすいが、保護性能は最低限

  • Level 2 → 一般的な乗馬や軽い障害飛越に適したレベル

  • Level 3 → 最高レベルの保護性能を持ち、競技やクロスカントリーで推奨

BETAの認証レベル


  • BETA Level 1 → EN13158 Level 1相当

  • BETA Level 2 → EN13158 Level 2相当

  • BETA Level 3 → EN13158 Level 3相当(最も推奨)

5. 日本独自の乗馬安全規格


現在、日本独自の安全規格は存在せず、主にヨーロッパやアメリカの規格が採用されています。


日本で主に使用される規格


  • ヘルメット → VG1, ASTM F1163, PAS015, EN1384

  • ボディプロテクター → EN13158 Level 3, BETA 2009/2018 Level 3

  • エアバッグ式プロテクター → CE認証、BETA認証(併用推奨)

まとめ


乗馬の安全装備には、ヘルメット・ボディプロテクター・エアバッグ式プロテクターなどがあり、


それぞれ異なる安全規格が適用されます。


特に競技やクロスカントリーを行う場合は、EN13158 Level 3BETA 2018認証の製品を選ぶことが推奨されます。


日本には独自の規格がなく、主に欧米の基準が採用されているため、製品選びの際には国際認証を確認することが重要です。