2024/10/01 00:00

乗馬のライセンスって知っていますか?

こんにちは!今日は乗馬ライセンスについてお話ししたいと思います。乗馬と聞くと、美しい馬に乗って広大な草原を駆け抜けるイメージが浮かぶかもしれませんよね。しかし、ただ乗るだけではなく、技術や知識を証明するための「乗馬ライセンス」があることをご存じでしょうか?

全日本乗馬倶楽部振興協会(全乗振)が発行する乗馬ライセンスは、安全に楽しく乗馬を楽しむための大切な証明書なんです。ライセンスを取得することで、あなたの乗馬技術が公的に認められ、安全性もグンと高まります。そして、ライセンスはただの証明書にとどまらず、競技への参加資格を得たり、プロフェッショナルとしての道を開くための第一歩となります。

これから始まるこのシリーズでは、乗馬ライセンスの種類や取得のメリット・デメリット、そしてライセンス取得後に広がる可能性について詳しく探っていきます。まずは、なぜライセンスを取得する必要があるのか、その理由と目的について見ていきましょう。

ブリティッシュライセンスの概要

ブリティッシュライセンスは、主に英式の乗馬技術と知識を認定する資格です。全日本乗馬倶楽部振興協会(全乗振)が提供しており、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応しています。各級の取得には実技と筆記試験があり、技術と知識の両面から評価されます。それぞれの級の実技と筆記試験の内容、そして令和5年度の合格率についてもご紹介しますね。

5級

実技試験

  • 部班運動にて審査

  • 乗馬、下馬ができる

  • 停止および常歩で正しい姿勢がとれる

  • 誘導馬について小区画の馬場で軽速歩ができる

  • 内方開き手綱の操作ができる

  • 落馬失権

筆記試験

  • 馬の品種

  • 馬の性質

  • 馬の表情

  • 馬の毛色(栗毛・鹿毛・芦毛など)

  • 馬の取り扱い

  • 常歩と軽速歩について

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 4,973名

  • 合格者数・率: 4,965名(99.8%)

4級

実技試験

  • 部班運動にて審査

  • 常歩で巻き乗り、半巻きを含む回転運動。速歩で90°の方向変換および斜め手前変換

  • 停止-常歩-速歩-常歩-停止が概ねスムーズにできる

  • 軽速歩の手前が理解できる

  • 速歩運動にて正しい姿勢がとれ、手綱・脚の操作が概ねでき、駈歩の発進、維持ができる

  • 落馬失権

筆記試験

  • 部班運動について

  • 馬体の名称

  • 三種の歩様について

  • 手入れ道具について

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 2,371名

  • 合格者数・率: 2,350名(99.1%)

3級

実技試験

  • 5級、4級の運動を含め、駈歩の発進、維持。歩度の伸縮が概ねでき、巻き乗り、半巻きができる

  • 駈歩の手前が理解でき、常歩、速歩を入れての手前の変換ができる。扶助操作の適否

  • 地上横木の通過

  • 落馬失権

  • 3回目の経路違反で失権

  • 馬場埒から四肢が出た場合は失権

筆記試験

  • 5級、4級の項目に加え、蹄の名称および馬場運動の図形等

  • 鞍の部位の名称

  • 蹄の名称

  • 運動の名称

  • 回転について

  • 馬の動き方について

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 1,428名

  • 合格者数・率: 1,277名(89.4%)

3級取得後の選択肢

3級を取得した後、ライダーは障害ライセンスと馬場ライセンスのどちらかを選ぶことができます。


障害3級

実技試験

  • 障害数6~8個程度で、コンビネーション障害は含まなくてもよい。高さ80㎝程度の障害を3個以上設置するコース

  • 基準Aにて採点。(3反抗失権)

  • 落馬、経路違反は失権

筆記試験

  • レッツエンジョイライディング(全乗振発行)より出題

    • 馬の性質について

    • 馬の動き方について等

  • JEF競技会規程より出題

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 279名

  • 合格者数・率: 264名(94.6%)

  • 合格者数・率: 257名(94.8%)

障害2級

実技試験

  • 障害数8~10個程度で、ダブル障害を含み、高さ90㎝程度の障害を3個以上設置してあるコース

  • 基準Aにて採点。(3反抗失権)

  • 落馬、経路違反は失権

筆記試験

  • レッツエンジョイライディング(全乗振発行)より出題

    • 馬の管理、健康状態について

    • 扶助について等

  • JEF競技会規程より出題

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 205名

  • 合格者数・率: 188名(91.7%)

  • 合格者数・率: 187名(89.9%)

障害1級

実技試験

  • 障害数8~10個程度で、ダブル障害を含み、高さ100㎝以上の障害を2個以上設置してあるコース

  • 基準A(3反抗失権)にて採点(タイム減点は加算しない)

  • 落馬、経路違反は失権

筆記試験

  • レッツエンジョイライディング(全乗振発行)より出題

    • 頭部や、肢部の白斑について

    • 馬の病気について

    • 運歩の順序や、移動距離について等

  • JEF競技会規程より出題

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 151名

  • 合格者数・率: 135名(89.4%)

馬場2級

実技試験

  • 日本馬術連盟制定馬場馬術競技 第2課目Bにて審査

筆記試験

  • レッツエンジョイライディング(全乗振発行)より出題

    • 馬の管理、健康状態について

    • 扶助について

  • JEF競技会規程より出題

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 518名

  • 合格者数・率: 377名(72.8%)

馬場1級

実技試験

  • 日本馬術連盟制定馬場馬術競技 第2課目Cにて審査

筆記試験

  • レッツエンジョイライディング(全乗振発行)より出題

    • 頭部、肢部の白斑について

    • 馬の病気について

    • 運歩の順序や、移動距離について

  • JEF競技会規程より出題

  • 国際馬術連盟 馬場馬術規程より出題

申請者数と合格率(令和5年度)

  • 申請者数: 278名

  • 合格者数・率: 239名(86.0%)


ブリティッシュライセンスの概要

それぞれの級の実技と筆記試験の内容、そして令和5年度の合格率を詳しく見てきましたが、ここで各級の一般的なイメージと習得できる技術についても簡単にまとめてみましょう。


ブリティッシュライセンスの一般的なイメージと習得技術

5級

イメージ: 初心者向け

  • 習得技術: 基本的な乗馬技術を習得し、安全に乗馬ができるようになります。馬の基本的な扱い方やコミュニケーション方法を学びます。

  • : 乗馬、下馬の正しい方法、常歩や軽速歩の基礎。

4級

イメージ: 初級者向け

  • 習得技術: 基本技術をさらに向上させ、より自信を持って馬を操作できるようになります。巻き乗りや斜め手前変換など、基本的な回転運動も習得。

  • : 正確な停止-常歩-速歩の移行、駈歩の発進と維持。

3級

イメージ: 中級者向け

  • 習得技術: 中級レベルの技術を持ち、安全に馬を操作できるようになります。駈歩の発進と維持、地上横木の通過などを含む。

  • : 複雑な経路を乗りこなす、馬場運動の理解と実践。

障害3級

イメージ: 初級の障害飛越技術

  • 習得技術: 基本的な障害飛越の技術を習得し、高さ80cm程度の障害を飛び越えることができるようになります。

  • : シンプルなコースでの障害飛越、基礎的な障害飛越競技への参加。

障害2級

イメージ: 中級の障害飛越技術

  • 習得技術: より高度な障害飛越技術を持ち、高さ90cm程度の障害を飛び越えることができるようになります。

  • : ダブル障害のクリア、複雑なコースでの障害飛越。

障害1級

イメージ: 上級の障害飛越技術

  • 習得技術: プロフェッショナルレベルの障害飛越技術を持ち、高さ100cm以上の障害を飛び越えることができるようになります。

  • : 日馬連B級に移行して公認競技に出ることができる。

馬場2級

イメージ: 基本的な馬場馬術技術

  • 習得技術: 基本的な馬場馬術の技術を習得し、第2課目Bの競技に参加できるようになります。

  • : 基本的な馬場運動、競技会での評価。

馬場1級

イメージ: 上級の馬場馬術技術

  • 習得技術: 高度な馬場馬術の技術を習得し、第2課目Cの競技に参加できるようになります。

  • : 日馬連B級に移行して公認競技に出ることができる。

3級を取得すると、乗馬クラブや外乗で特定のレッスンやコースに出られるようになり、選択肢が一気に広がります。例えば、障害ライセンスを取得することで、障害飛越の専門レッスンに参加できたり、馬場ライセンスを取得することで、馬場馬術の技術をさらに磨くための特定のコースに進むことができます。これにより、より専門的な乗馬技術を習得し、自分の乗馬スキルを次のレベルへと引き上げるチャンスが増えます。

ここまで、各級の試験内容を詳しくご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?長くなってしまったので、今回はここで一旦締めくくりたいと思います。

次回は、「乗馬ライセンスのメリットとデメリット」について詳しくお話ししたいと思います。お楽しみに!