2024/09/22 00:00

今年の全日本ジュニア障害馬術大会と全日本障害馬術大会 Part IIは、大きなレギュレーション変更があり注目を集めました。その中で、私なりに一番気になった点について書きたいと思います。

観戦して気になった点

第一走行で減点があった人馬は最終の順位を少しでも上げるためにアグレッシブな(リスクを取った)走行をするし、第一走行で減点0の人馬はクリアラウンドをしてジャンプオフに進むために慎重に走行をしようとするので、結果としてタイムが遅くなりがちになって最終順位にも影響が出てしまっているのではないか。

このレギュレーション変更が競技結果にどのように影響したのかを具体的なデータを元に考察します。総減点4の人馬をピックアップしました。


総合的な考察

まず、全日本ジュニア障害馬術大会と全日本障害馬術大会 Part IIの競技結果についてのデータです。このデータは、各クラスにおける第一走行と第二走行の成績をまとめています。

チルドレンライダー

  • 第一走行で減点がなかった選手(減点0)は5人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは70.81秒でした。

    • 最終平均順位は7.8位です。

  • 第一走行で減点があった選手(減点4)は6人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは67.03秒でした。

    • 最終平均順位は6.17位です。

ジュニアライダー

  • 第一走行で減点がなかった選手(減点0)は6人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは66.87秒でした。

    • 最終平均順位は6.0位です。

  • 第一走行で減点があった選手(減点4)は3人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは62.58秒でした。

    • 最終平均順位は3.0位です。

ヤングライダー

  • 第一走行で減点がなかった選手(減点0)は5人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは72.24秒でした。

    • 最終平均順位は5.3位です。

  • 第一走行で減点があった選手(減点4)は2人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは70.72秒でした。

    • 最終平均順位は2.5位です。

MDクラス

  • 第一走行で減点がなかった選手(減点0)は5人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは66.27秒でした。

    • 最終平均順位は7.2位です。

  • 第一走行で減点があった選手(減点4)は5人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは63.89秒でした。

    • 最終平均順位は6.0位です。

MCクラス

  • 第一走行で減点がなかった選手(減点0)は11人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは63.64秒でした。

    • 最終平均順位は6.73位です。

  • 第一走行で減点があった選手(減点4)は2人いました。

    • 彼らの第二走行の平均タイムは66.68秒でした。

    • 最終平均順位は11.5位です。


各クラスの最終平均順位差分


あとがき

この表を見ていくつかの点が目立ちます。まず、総減点4の選手が第二走行で速いタイムを出す傾向があることが明確に示されています。これにより、第一走行で減点があった選手が、第二走行でリスクを取って順位を上げようとしていることが伺えます。

一方で、第一走行で減点0の選手は、ジャンプオフを目指して慎重に走行しているため、第二走行のタイムが遅くなる傾向が見られます。この結果、最終順位に影響が出てしまっていることも興味深いです。

さらに、クラスごとにその傾向が一貫していることから、この現象が偶然ではなく、レギュレーション変更の影響によるものだと考えられます。これは、競技戦略の見直しやレギュレーションの再評価が必要であることを示唆しています。

次世代の人馬のために

どのルールで開催するのが最適か、その答えは永遠に出ないかもしれません。それでも、世代別の大会では第一走行で失権した人馬も第二走行を走らせてあげてほしいと強く思います。

今年からは各日2世代の開催となり、時間的にも余裕があるはずです。第一走行で失権したとしても、第二走行で巻き返すチャンスを与えられることで、選手たちのモチベーションも高まり、競技自体がさらに魅力的になるのではないでしょうか。

もちろん、色々と難しい点があるのは理解しています。しかし、それでもなお、全ての選手に公平な機会を提供するための工夫が必要ではないかと思います。競技の公平性と参加者全員の経験を充実させることが、未来の世代別大会をさらに素晴らしいものにする鍵になるのではないでしょうか。

新しいルールの下で、これからの大会がどのように進化していくのか、楽しみにしています。