2023/11/30 09:01

乗馬用品・馬具専門ショップ「LAURO Tack(ラウロタック)」です。

今日は近年特に言われるようになった馬のウェルフェアについて書いていきます。

「ウェルフェア」という言葉のそもそもの意味は、社会福祉や福祉制度に関連する用語で単純に福祉と訳されることも多いですが弱者に対する保護を中心としたサービスという意味合いが深く含まれています。

日本での馬のウェルフェアの考えの始まりは乗馬界からではなく競馬界からと言われています。その一番有名なものは競走馬の引退後のセカンドキャリアに関する取り組み、リトレーニング(乗用馬転用)でしょう。

乗馬界での馬のウェルフェアの取り組みで言えば、FEI(国際馬術連盟)の馬スポーツ憲章というのがあり、その考えのもとに様々なルールが明文化されています。
具体的には下記にそのままコピペしますが、過度に商業的や競技の勝敗に重きを置かないように馬にかかわる人に求めています。
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a) 良質な管理
    馬を最上の状態で管理するには厩舎設備および飼料給与が不可欠である。清潔で良質な飼葉、飼料、水が常に与えられなければならない。
b) トレーニング方法
    馬はその身体能力および当該種目における熟練度に応じたトレーニングを受けるべきである。馬を虐待するような方法または恐怖を与える方法を用いてはならない。
c) 装蹄および馬装具
    フットケアおよび装蹄は高い水準になければならない。馬装具は痛みやケガのリスクを避けるようにデザインされ、つくられていなければならない。
d) 輸送
    輸送中は、ケガやその他の健康被害に対して十分な対策がとられていなければならない。車両は安全、良好な換気、高水準の整備、常に清潔な状態で、かつ適格なドライバーが運転しなければならない。馬を正しく扱える者が、常に馬の管理のために準備されていること。
e) 移動
    すべての輸送は最新のFEIガイドラインに則って綿密に計画され、定期的に飼料および水を給与するための休憩時間をとらなくてはならない。
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※FEI(国際馬術連盟)の馬スポーツ憲章引用


上記は概要で競技会参加の姿勢や競技会での馬のウェルフェアを損なわないための考えなども馬スポーツ憲章には書かれています。


そして、ここ数年で競技会での馬のウェルフェアは進んできているように感じます。
特に感じるのが障害競技での規定改正です。具体的にはこれまで使えていた馬具が使えなくパターンが増えてきています。目につくのは「拍車」「脚用のプロテクター」です。鋭利な水平拍車やディスク付きの拍車が認められなくなってきたり、プロテクターだと折り返して止めるタイプの物の使用が制限されるようになりました。拍車は過度に苦痛を与える危険性があるためで、プロテクターは何かあったときに外れないことで馬のケガをする可能性が高くなるためです。これら以外にも前に比べて鞭の使用も、過度に使用した場合は注意を受けている場面に遭遇する機会が格段に増えました。

乗馬は、馬がいないと成立しないスポーツであり、馬は言葉を発せないので自分本位にならず、馬の気持ちを汲み取る努力が必要だと感じます。